(2011. 3. 2 掲載)

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会長メッセージ
公益社団法人日本化学会のスタートに際して



平成22年度・23年度会長 岩澤 康裕

 日本化学会は,3月1日,社団法人から公益社団法人に移行致しました。
 日本化学会では,昨年(平成22年)4月27日の通常総会で承認された新定款をもとに,申請書類,規程類の整備を行い,7月7日の理事会で公益法人認定申請書を承認し,内閣府公益認定等委員会に対して10月22日に公益社団法人への移行申請を行いました。そして,当初の想定スケジュール通り,2月23日に内閣総理大臣から公益社団法人としての認定書を頂き,3月1日に新法人登記を行い,公益社団法人日本化学会となりました。公益社団法人に移行するまでの約2年間,公益法人化のために尽力・協力して下さった役員の皆様,会務部門会議,特に,多くの作業を遂行された公益法人化WGと事務局の皆様に感謝申し上げます。また,この間の会員の皆様のご理解・ご支援に改めて御礼申し上げます。
 日本化学会の事業活動の多くはこれまでも公益性が高く,したがって公益法人化後も本質的には同じと考えております。平成23年度重点活動基本方針は,会員増強,新規秋季事業,産学交流活動の実質化,支部を活用した人材育成・地域社会貢献,財務体質の強化・健全化,論文誌問題の方針決定,化学の夢・ロードマップ作成,世界化学年事業,国際・アジア連携強化,政策提言など15項目にわたります(第600回理事会で承認)。しかし,日本化学会が担ってきた我が国の科学・技術の発信,評価,社会還元,普及・啓発,人材育成,情報提供,国際交流,知財の保護など,公益社団法人としてこれまで以上に「社会のための日本化学会」としての存在意義が問われることになります。また,公益法人化移行に伴い化学教育協議会は,教育・普及部門として位置づけられ,その活動は今後益々重要になることと予想されます。公益社団法人認定は,日本化学会が会員のみならず広く国民から期待される学会であることを意味いたします。
 資源・エネルギーに乏しく,少子高齢化・食糧・新興再興感染症など多くの課題を抱えた我が国が有限の地球上で生き残りをかけ,国際的な大競争時代に勝ち,豊かな持続的社会を構築し,また,先進国の中でプレゼンスを高め国際貢献を果たすためには,科学・技術による力強い日本の構築と産業の発展が必須です。そのためには,科学・技術において世界最先端(No.1)と多くの優れた分野(多様な知の連山)を持つことが重要です。世界各国とも次世代の国際的競争を勝ち抜くには,高等教育と科学研究・技術開発投資が重要との認識のもと一段と強化しています。日本化学会は,国の科学・技術・教育政策に関して深く憂慮し大変な危機感を抱き,主要学協会の音頭をとり協力してこの1年間に4回の会長声明,提言・要望を表出しました。研究教育予算・投資の改善,多様な評価・価値観の導入,高度人材・博士育成の充実・支援,女性・若手研究者支援,大学の施設環境の国際的競争強化などの提言・要望を行い,多くが政策に反映されています。第4 期科学技術基本計画には,今後5 年間の政府研究開発投資の目標として25 兆円(GDP 比1%)も記載されました。
 化学はそれ自身重要なディシプリンとして,一方で多くの分野の発展を支える基盤科学として大きな役割を果たしており,科学技術の発見・発明の約20%は化学の貢献によるとされ,化学は21世紀のCentral Scienceとして,科学・技術による力強い日本の構築と持続的人類社会の発展に貢献できると期待されています(Nature 2011, 5, 469)。  公益社団法人日本化学会は世界有数の化学系学会として(アメリカ化学会,英国王立化学会に続いて世界第3位の会員数),化学者・技術者と社会のために最大限貢献できるよう尽力する覚悟ですので,今後の皆様の化学ならびに化学界のご支援ご協力を切にお願い申し上げる次第です。


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