化学系学協会刊行フォーラム
委員長 井上 祥平
The Chemical Record編集委員長
向 山 光 昭
日本の化学関係7学協会(日本化学会、高分子学会、電気化学会、日本生物工学会、日本分析化学会、日本薬学会、有機合成化学協会)は、学協会を結ぶ先鞭的事業として、「化学系学協会刊行フォーラム」〔委員長:井上祥平(平成11年度日本化学会会長)〕を結成し、2001年1月から新しい英文総合論文誌
" The Chemical Record“ を創刊いたしました。
近年、科学技術の急激な発展により研究分野が一層拡大し、学術団体としての学協会は、これまでの伝統的な活動に加え、新たな可能性を視野に入れた積極的な展開が求められており、境界・融合領域での学協会間の相互協力が、学術研究の新たな飛躍に不可欠の状況となりつつあります。また研究者にとっては、それぞれ固有の学問領域を踏まえながら、さらに異領域の学術的協同作業が必須になっております。
上記7学協会からなる「化学系学協会刊行フォーラム」は、化学を中心に学際・融合領域の学術成果の情報発信媒体として、わが国で初めての英文総合論文誌
" The Chemical Record ”の発刊を決めました。
従来の多くの論文誌が各学協会固有領域の研究成果の発表を目的としているのに対し、“ The Chemical
Record” は、物質科学の中核を担う「化学」をキーワードとして、特に重要なテーマについて、著者の研究を中心に総合的に解説したハイライト論文を掲載するものです。これにより異領域の学術成果、研究概念、手法、原理、新技術などを学協会・研究者間で互いに共有し、学術成果の発展の過程および現状、さらにこれから求められる課題を中心に将来動向を示すことによって、学術研究の新たな発想の指針とインパクトを与え、社会が求めるダイナミックな新学術パラダイムの構築を図るものです。
“ The Chemical Record ”に掲載される総合論文は、上記方針に従い、基本的には国内外の著名な先導的研究者の招待論文を主体にしますが、一般投稿も含みます。また、アジア地域における今後の発展性の重要性を考慮し、アジア諸国からの総合論文も積極的に掲載する予定です。さらに、ブレークスルー化学技術を創出した国内外企業研究者の招待論文も併せ掲載し、発行は当面年6回です。
“ The Chemical Record ”の編集・出版は、日本における現在の各学協会での一次刊行物等と異なり、「化学系学協会刊行フォーラム」内に編集委員長(向山光昭東京理科大学教授)を中心に、アジア・欧州・米国の三地域からノーベル賞受賞者およびそれに匹敵する著名研究者を副編集委員長に迎え、さらに国内外の著名研究者を編集委員(編集委員長・副編集委員長・編集委員合計43名中、日本人24名、外国人19名)とする国際的な編集体制のもと、国際的評価の高いWiley社(New
York, USA)に出版を委託して、両者が一体となって強力に推進しています。また、初年度より電子化を行い、Wiley社のサイトにWeb版を掲載し、冊子体と同じ2001年2月より公開いたしました。
本刊行事業は、上記7学協会が協同して行うものですが、文部省では学協会の協同による論文誌の刊行に強い関心を寄せており、同省から平成12年度科研費刊行物助成を受けて発刊しています。
異領域にまたがる研究の展開は今後の動向として増大することは確実であり、" The Chemical
Record ”は:社会が求める新学術パラダイムの構築に向け情報発信媒体として国際的に一流の権威ある地位を築くことを目指しております。
なお、2001年1月創刊号および次号の掲載論文は下記のとおりです。是非ご期待ください。
■創刊号目次
● Ronald Breslow(Columbia University, USA)
"Biomimetic Selectivity"
● Roy H. Doy(University of California, Davis, USA)
"The Clostridium Cellulovorans Cellulosome:An Enzyme Complex
with Plant Cell Wall Degrading Activity"
● Gerhard Ertl(Fritz-Haber-Institute der Max-Plank-Gesellschaft,
Germany)
"Heterogeneous Catalysis on Atomic Scales"
● Malcolm Chisholm (Ohio State University, USA)
"Factors Influencing the Reductive Cleavage of C-X Multiple
Bonds in their Reactions with Metal-Metal Multiple Bonds (X=C,N,O,S)"
● Yoshio Okamoto(Nagoya University, Japan)
"Stereocontrol in Radical Polymerization"
● David Lynn(Emory University, USA)
"Template-Directed Ligation:From DNA towards More Versatile
Templates"
● Hachiro Sugimoto(Eisai Corporation, Tsukuba, Japan)
"Donepezil Hydrochloride:A Treatment Drug for Alzheimer's
Disease"
● Johannis Duine(Technische Universiteit Delft, The Netherlands)
"Cofactor Diversity in Biological Oxidations:Implications
and Applications"
第2号目次 (2001年3月刊行予定)
●Ryoji Noyori (Nagoya University, Japan)
Self and Nonself Recognition of Chiral Catalysts: The Origin of
Nonlinear Effects in the Amino-Alcohol Catalyzed Asymmetric Addition
of Diorganozincs to Aldehydes
●Gabor A. Somorjai (U. C. Berkley, USA)
Polymer Surface Science
●Edward S. Yeung (
High Throughput Single-Molecule Screening of DNA and Proteins
●Edith Wilson Miles
Tryptphan Synthase: a Multienzime Complex with an Intramolecular
Tunnel
●Hideaki Yamada
Hydratases Involved In Nitrile Conversion: Screening, Characterization
and Application
●Stefan Matile
Bioorganic Chemistry a la Baguette; Studies on Molecular Recognition
in
Biological Systems Using Rigid-Rod Molecules"
●Bruno Scrosati (University "La Sapienza", Italy)
New approachs to Li polymer batteries
■購読料 (いずれも1月開始の1年間の購読価格・送料およびWeb版利用料を含む)
購読料は下記のように極めて格安となっています。是非ご講読くださるようお薦めいたします。また、周囲の方々にもお薦めください。
(1) 化学系学協会刊行フォーラム加盟7学協会個人会員: 4,000円(年間6冊、送料/Web版利用料を含む)
(2) 上記学協会会員以外の個人: 150$(年間6冊、送料/Web版利用料を含む)
(3) 大学・公共図書館・法人企業等: 380$(年間6冊、送料/Web版利用料を含む)
■購読申込方法・申込先・問合せ先
●上記(1)の方 日本化学会ホームページに掲載された申込書により下記あてお申し込みください。
101-8307 東京都千代田区神田駿河台1-5 (社)日本化学会内 化学会系学協会刊行
フォーラム 担当:井樋田/田巻
(電話:東京(03)3292-6163 FAX: 東京(03)3292-6318 e-mail:ihida@chemistry.or.jp
またはtamaki@chemistry.or.jp)
●上記(2)および(3)の方
下記あて直接お申し込みください。
102-0073 東京都千代田区九段北1-5-9 九段誠和ビル7階
ワイリージャパン 担当:小林
(電話:東京(03)3556-9553 FAX:東京(03)3556-9763 e-mail:m.kobayashi@wiley.co.jp)
以上